そろそろ夕方になる。部屋の中は赤く染まり、その光に頬を染めながら、ルルーシュは部屋で退屈を持て余していた。
そもそも、普段から外出するなと釘を刺しているというのに、あの女は何処に消えたのか。
珍しく、今日は何も無かった。黒の騎士団としての活動も、またその下準備も早々に終えてしまい、久々の休日を満喫しようとしたものの、如何せんやることが無い。しょうがないのでC.C.とピザでも食べようかと思っていたのだが、そのピザは既に机の上ですっかり冷め切ってしまっていた。
ルルーシュがどれだけ待っても彼女は来ない。仕方ない、とルルーシュはコートを羽織り、外の散歩に出かけることにした。
のんびりと歩いていく。人も車もまばらで、何時もより道が広く感じる。だが、思っていたよりも落ち着けられそうな場所は無くて、ルルーシュはただぼんやりと歩き続けた。舗装された道が、太陽の日に反射して、憂いを帯びた夕日の光がルルーシュを包む。銀杏の葉が道を埋め尽くし、風に舞う。そろそろ、一年を閉める季節が来る。秋の空は近くなってきて、寒さと共に冬が来るのだろう。
結局何をするわけでもなく、自室に戻ると、既に待ち人はピザを摘んでいた。
「C.C.」
ルルーシュの呼びかけに彼女はピザを加えたまま振り向いた。そのまま彼女に近づくと、髪から何やら甘い匂いが漂ってくる。
「…ん、良い匂いだな」
余程怪訝そうな顔をしていたのか、C.C.は笑いながら一つの袋を取り出した。
「それは、きっとコレだな…私の自信作だ。美味しいぞ?」
匂いの正体はクッキーだった。その台詞から察するに、彼女の手作りのようだ。ルルーシュが待っている間、C.C.はクッキーを作っていたわけで。
二人で食べる。同じ事を考えていても、その時間の使い方は全然違っていた。
「……美味しい」
「そうか…しかし、お前が一言言ってくれれば、私も手間をかけずに済んだのだがな」
素直な感想を呟くと、そっけない反応とは裏腹に、C.C.は極上の微笑みを浮かべていた。不覚にも胸が高鳴ってしまう。
コイツ…何だか普通の女の子みたいで…いや、それはそれで構わないんだが…?くそっ、俺は何を考えている。
思考が混乱して纏まらない。ルルーシュは何処まで行ってもルルーシュだった。