雨が降っている。雫が垂れ、窓は曇り、外は濡れている。景色は霞み、雨音は部屋のあちこちに響いている。止まず、絶えず、降り注ぐ。その雨は、一体何を洗い流そうとしているのか。
ルルーシュは苛立たしげに、溜息をつくと、ベッドに突っ伏してしまった。C.C.は暗い部屋の中で、膝を抱えて俯いている。
雨は止まない、細い雫が控えめに踊っている。悲しい雨。陽光を遮る雲。誰が、何がこの雲を紡ぐのか、それは誰も知らない。知った所で、誰にもどうする事も出来ない。

「C.C.?」

ふと首を回すと、部屋の中には彼女は居なかった。身体を起こし辺りを見回すと、C.C.はベランダから外を眺めていた。雨が降る、彼女に降る。まるで、彼女を取り込むように降り注ぐ。
何故だか、そんな気がしてルルーシュはC.C.を無言のまま部屋の中に引きずり込んだ。

「何をしてるんだ」

「………」

雨の匂いがC.C.から漂ってくる。腕の中で、彼女は力を抜いたように、ぐったりと倒れこんできた。急な重みで、つい体勢が崩れる。

「洗い流したかった」

「何を?」

「お前の罪を、全て」

ルルーシュは、強くC.C.を掻き抱いた。彼女の濡れた身体を自分の身体に押し付けた。今の自分の気持ちを、上手く言葉に表せられないから。だから、強く彼女を抱きしめた。
彼女の、彼の水を吸って、部屋に水溜りが出来ていく、その中で二人は抱き合って眠る。
空は灰色、部屋は暗い。一体どちらの心理描景か。まだ、雨は止まない。世界を打ち叩く雨音は、一層強くなっている。

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