何時からだろう、貴方を目で追うようになったのは。

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カレンは机に伏せているルルーシュをずっと見つめていた。隣、手を伸ばせば直ぐに触れられる距離で。
数時間前、日が暮れそうな時間の事。次回の学園祭の事でついつい遅くまで二人で居残ってしまった。お互い黙々と自分の作業をこなしていたのだが、ふと気がつくと、ルルーシュは机に伏せ、寝てしまっているようだった。
最初は起こそうとしたのだが、静かに寝息を立て、僅かに見えるルルーシュの寝顔を見ると、それは出来なかった。不意に彼が見せた無防備な表情。今だけは、見つめる事が出来る。普段は意識的に見ないようにしていたのだから。

「ルル…シュ」

何時からだろう?彼の事を意識し始めたのは。
気がつけば、彼を目で追っていた。一見人がよさそうで、誰も寄せ付けない雰囲気を持っている。それはまるで自分と被るようで…


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少し前に、好きな人のタイプの話になったことがある。

「カレン、君は?」

そのときに、ルルーシュと目が合った。思わず、発しかけた言葉を喉に押し込め。何とかごまかした。
ゼロに対する想いとはまた違う、胸がくすぐったくなるような不思議な感じ。これが恋いという物かも知れない。
だけど、この想いはきっと叶わない。自分は黒の騎士団のエースパイロット。そう遠くない未来、この学園に戻らない日が来る。

こんなに近くにいるのに、手を伸ばせばすぐに触れることができるのに。
多分、好きなのに。
知るのが少し遅かった。
きっと、二人の距離はこれ以上、縮まらない。

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「…っ」

長い時間がたったような、だが実際は10分も経っていなかった。ルルーシュが目を擦りながら、あたりを確認する。ここが生徒会室だと知って少し驚いたようだ。

「っ…すまない。少し眠ってしまったようだ」

「気にしないで、私も少し疲れてたみたい」

カレン、も寝てたのか。と彼は苦笑した。私は何も言わなかった、言えなかった。

その後、急いで身支度を整え、そそくさと学園を後にした。日はすっかりと暮れ、季節の変わり目特有の肌にしみる風が少し強く流れていた。

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