姉上の手はいつも暖かかった。姉上の手には不思議な力が宿ってると思う。触れてると、暖かくて、安心するし、触ってるだけで嬉しくなる。
「ルルーシュ?」
姉上の手を握ってたら、怪訝そうな表情で、俺の顔を覗き込んできた。
「あ、ごめん」
答えて、パッと手を離した。姉上の手か、音を立ててソファーの上に落ちた。
俺たちは並んでソファーに座って。姉上は片手で何かの本を読んでいる。何もする事の無い俺は、さっきから姉上の手を掴んだり放したりを繰り返していた。
「姉上、人の手には不思議な力が宿ってるって知ってる?」
俺は姉上の手に視線を向けたまま、つぶやいた。
「具合が、悪いときとか、何処か痛む時。皆無意識のうちにそこに手を当てるだろ?」
「……なるほどな」
そういって姉上は、俺の手を掴んだ。ぎゅっと。
「…どうだ?」
「……うん」
姉上の暖かさが、想いが手を伝わってくる。そっと肩が触れた。姉上の髪と甘い匂いが鼻孔と意識を刺激する。
そっと、姉上が本を横に置いた。俺は姉上の手を掴んだまま押し倒す。そのまま口をつけた。何度も、何度も。繰り返して離れる、姉上の頬が少し染まっていた。俺の顔はもっと染まってるに違いない。
「まるで子供だな」
「……別に、それでもいい」
俺の頬を、姉上の手が包み込む。ただそれだけで俺の心は暖かくなる。鼓動が激しくなってくる。呼吸が荒くなってくる。
恥ずかしい…それでも顔を上げてみると、姉上は柔らかく微笑んでいた。