どんなに好きでも、それは届かなくて。
どんなに愛していても、それは聞えなくて。
どんなに優しくしても、それは掴めなくて。
この想いは、螺旋の波に囚われて落ちていく。
愛という名の奈落に。
――――――――――
眩しいような笑顔のコーネリアの手が肩に触れると、ルルーシュは悲しそうな顔で目を背けた。
「姉上…」
悲しそうに、抑揚の無い声で呟く。
「ルルーシュ」
くすりど微笑を浮かべ、コーネリアはルルーシュを押し倒した。そして、近くにあった短めの縄を使い、手馴れた手つきでルルーシュの手首を縛る。
「……ふふっ」
背筋が凍るような声でコーネリアは哂う。そのまま、貪るように唇を重ねる。貪欲に舌を動かし、絡め、唾液を飲み干し、ただそれを繰り返した。
「…いや、だ」
「何が嫌なんだ?嫌なら、抵抗すれば良いだろう?」
コーネリアは舌を唇から首筋、喉に這わせ、徐々に下げていく。
「…言ってみろ、何が嫌なんだ?ココはこんなに悦んでいるというのに」
右手で刺激を与えながら、鎖骨、肩、そして胸を舐め回す。
「…や……嫌だ!」
ルルーシュは大きく足を動かした。その勢いで、コーネリアはベッドから投げ出される。
「…っ…ルルーシュ」
コーネリアは呆然とした表情で、ルルーシュを見つめる。ルルーシュは起き上がり、コーネリアを見据えた。
「あね……姉さん、貴女は一体何を考えてるんですか?」
「……」
「何で、そんなに悲しそうなんですか…!何でそんな瞳で俺を見るんですか?」
「…気のせいだ」
「貴女は……俺の事をどう思ってるんですか?」
コーネリアはルルーシュの視線から目を離してしまう。だがルルーシュはそれでもコーネリアを見つめ、話し続ける。
「貴女は、俺が憎いんですか?もし、そうなら俺は謝ります。俺に至らない所があるなら努力して直します。だって、俺は貴女を愛して…」
「ルルーシュ!」
思わず、声を荒げるコーネリア。ルルーシュは泣いていた。心臓が破裂しそうなほど弾けてる。心の底から望んだ言葉。
「姉さん…!俺は貴女を…」
「やめろ!!」
コーネリアの悲痛な叫びと乾いた音。
「そんな言葉、聞きたくない」
心の底から望んでいた声、だがそれを聞くわけにはいかなくて、認めるわけにはいかなくて。
「姉さん…聞いてくれ」
「五月蠅い!」
もし聞いてしまえば、今まで私のしてきた事は無駄になってしまう。傷つけ、傷ついて。
「自惚れるな…本来なら、お前如きが気軽に話しかけられる位では無いのだぞ」
本当は好きで、全てを投げ出しても構わないほど愛しくて。誰にも代わりは務まらない。
「単なる気まぐれで遊んでやっただけだ…」
気まぐれなんかじゃない、本気だった。真剣だった。
「……さようなら」
低く乾いた声でコーネリアはそう言うと、振り返る事無く部屋を出て行った。