コレを見たときは夢だと思った。いや、そう思いたかった。

今、目の前にいるのは衣類を何一つ身に着けていないコーネリア姉さん。彼女は四つん這いで部屋に入ってきて、その首には首輪が巻きついており、そこから細い首紐が垂れるように延びている。
それを焦らすように引っ張っているのはシュナイゼル兄さん。わからない、何が何だかわからない。
姉さんは黒い布で目隠しをされていて、首輪以外は本当に何も身に着けていない。裸体を隠すのは、その美しい紫髪だけ。さらにはボールギグで口を塞がれていて、そこからは涎がとめどなく垂れている。

どう考えても、それは一生見ることは無いであろうこの情景。俺はただ立ち尽くすだけだった。

「どうだい?ルルーシュ。私の可愛い犬は」

屈託の無い笑顔。今はそれが怪しい。ああ、もともと逝っているヤツだとは思っていたが、まさかここまでとは。気がつけば頬を涙が辿り、俺は知らずのうちに泣いていた。

「名前はコーネリア。ほら、良い名前だろう」

兄さんが名前を呼ぶと、視界の奥で何かが左右に揺れた。尻尾だった。作り物であろう尻尾はお尻の穴に装着けられている。
既に思考は現実逃避を選択していた。

「…散歩に行くよ。ルルーシュ」

「あ、はい」

そう言って兄さんは踵を返す。俺の目の前で、作り物の尻尾が左右に揺れていた。


――――――――――


薄暗い廊下を歩く、二人と、一、匹。何処からどう見ても異様な集団で、外に出れば即座に通報されてしまうだろう。
薄暗い庭を進む。勿論明かりも音もなく、ただ月の光だけが柔らかに俺達を照らしてる。

「この辺でいいだろう」

どの辺でも良くないと思うが、兄さんは庭の中でも一際大きい桜の樹の下で止まった。満開に咲いた桜は、夜を彩り、その儚い花弁を散らしていく。
その桜の樹に兄さんは、姉さんの紐を縛り付けてしまった。
月下、舞い散る桜。その下で輝く白い裸体。その手足の一部が、泥や砂で少し汚れている。何故だか、それが凄く淫猥に見えてしまった。

「おや?」

姉さんの後ろに回りこんだ兄さんは、あからさまに嘲笑った。

「はしたない子だ、こんなにも濡らしてしまって」

「…っ!!」

姉さんの谷間は、すっかり濡れていた。
充血し、舟形に開いた秘裂は透明な蜜に覆われ、粘液が筋となって滴ってさえいる。
兄さんの指が二本、姉さんの花弁へ沈められ、女陰が歪に拡張げられた。

「…っ!!っ!」

刺激に背筋を仰け反らせる姉さん。紐筋がぴんと張った。埋め込まれた指は、膣内を掻き回す。上に下に、ゆっくりと混ぜるように二本の指が動かされている。
ボールギグからは、荒くも艶かしい呻き。それに左右に動くお尻。姉さんは逃れようとしているのかもしれない。だが、この光景は酷く煽情的だった。
静寂が支配する夜の空間に、濁ったような泡立つ水音が響く。どう見ても、姉さんは感じているようだった。この常識では捕らえられない異様な状況で。
兄さんは当たり前のように、ただただ哂いながら姉さんの女を責め立てていた。

「駄目だね…この子は、まるで躾がなって無い」

何処か遠くから兄さんの声が聞こえるような気がする。兄さんが指を引き抜き、ソレを舐めた。
姉さんは顔を地面につけ、腰を上げるような体勢になる。まるで這い蹲るような、屈辱的な格好。
普段では絶対に見られない強烈な情景。屈する姉さん。しかもそれが性的に嬲られてなんて…

「ルルーシュ」

気がつけば、兄さんの指が再び姉さんの秘所に迫る。すっかりと出来上がってしまったソコは、兄さんの指に絡みつくように腰と一緒に動いている。

「可愛いだろう?お前は、どう思う?」

兄さんは哂っていた。その視線はあからさまに俺の股間に注がれていた。その妖悦な哂いに背筋が凍る。
兄さんの細い指は粘液が絡み、淫欲に潤んだ瞳が深い色となっている。
ただ指で姉さんをよがらせているだけなのに、それがとても淫蕩な景色に見えて。

「…ふふ、何を考えているんだ」

兄さんは姉さんの首筋を舐めながら、その目隠しを取り、耳栓、ボールギグをはずした。

「……ぁ」

少し時間が止まる。

「え…あ、ルル……」

「………」

驚きと快楽と戸惑いの混じった双眸が俺を射抜く。だけど、それは直ぐに歪む事になる。

「…ん…っ」

「…ほら、コーネリア。してあげなさい」

兄さんが指をゆっくりと抜いて、紐を解いた。姉さんはゆっくりと俺に迫ってくる。俺はただ立っているだけで、動けなかった。

「ルル…お前は、こんな私を見て興奮していたのか……」

侮蔑と恥辱の混じったような声。あからさまに俺は関係ない。だけどそんな事を考えることも、言う事も出来なくて。

「厭らしい奴だ…こんなに大きくして」

姉さんの細く、汚れた指が俺の股間を撫でている。こちらの形を確かめる繊細でねっとりとした動き。厭らしいのはそっちで俺は普通だ。でも、そんな常識は今は全く通用しなかった。

「…座れ」

ゆっくりと姉さんが俺に圧し掛かってくる。間近で感じる荒々しい吐息と、気の遠くなりそうな濃い臭い。
姉さんが唇をちろりと舐めた。その仕草が凄く艶かしくて、酩酊しそうになる。

「ね、え…さん」

「黙ってろ」

遠くなりそうな意識が、姉さんのキスによって引き寄せられる。擽りつつ、姉さんの唇は耳、首筋、鎖骨、胸…と、時間をかけてゆっくりと進み、そして股間へと到達した。
動くにも全く身動きが取れない。何時の間にか、両手は後ろに縛られ、押し倒されていた。

「あ…ぁ」

「私に任せろ…ルルはじっとしているだけで良い」

手際良く取り出される一物。ソレは見られるのが恥ずかしい程にそそり立っている。

「ふふ…凄く硬くて、熱いな」

「やだ、やめて…くれ」

姉さんの指がすーっとなぞられる。そしてそのまま一気に含んでしまった。

「…っ!」

口内に包まれる感触に背筋が伸びる。ただ熱くて、この瞬間にも出してしまいそう。

「んっ…我慢するな。どうせ誰も聞いてない」

姉さんは巧みに、こちらの呼吸に合わせて際どいラインで口戯を楽しませ、口を一杯に使って強張りへと快楽を注ぎ込み、俺を翻弄し、そのまま頂点へと引き上げる。

「く…ぅっ…姉、さん!」

快楽が頂点に達した瞬間、痺れのような感覚と共に姉さんの喉に直接大量に放出された。

「……んんっ」

姉さんは一滴も溢さぬように嚥下し続ける。そんな姉さんを見つめながらも、俺は何も考えられなかった。ただ全てを出し切ろうと強張りがひくついている。

「ん…ふぅ。ああ、美味しいな」

とても永く、だが実際は分にも満たなかったのだろうが、ようやく射精は止まる。姉さんは笑顔でソレを全て飲み干していた。
その姿がとても……もう、何も考えられない。


――――――――――


月影に浮かび上がる姉さんの裸体は、全てを惹きつけるような美しさ。緩やかな曲線の肢体は、張り出した胸も、細い腰も、膨らんだお尻も、見るからに柔らかそうだ。
そして、内股を濡らす淫靡な愛液。

「あ…ぅんっ!」

右手はその胸を吸い付いて離れない。掌に馴染み、その量感を主張するように押し返してくる。

「ぁ…っ」

左手はただ膨らみの頂点にある蕾を弄んでいた。こりこりと、掌に擦れて少しくすぐったい。

「…っん…はぁ…!」

腰は無骨に姉さんを跳ね上がらせている。充足、満足させたくない。もっと悦んで欲しい。ただそれ一心で突き上げる。

「ぁ…あっ…んぁ…は…ぁっ!」

姉さんの身体は小刻みに震え、襞達は無数の吸盤になって吸い付き、律動から最大限の快楽を享受する。
それに濡れた喘ぎ。それは途切れることなく夜の静けさに木霊する。

「…っ、駄目、そこ…っ!」

「……っ」

「ゃあ…っ、おか、おかしくな…ぁっ!!」

ソコは周囲とは僅かに異なる感触の内壁。そこを刺激すると、一層姉さんの反応が激しくなる。
そんな反応をさらに感じたくて、ソコを重点的に責める。
姉さんは更に大きく全身を痙攣させ、歓喜と快楽に更に乱れる。弛緩と緊張を繰り返し、姉さんは何度も気をやってしまう。

「あっ…ルル、ルルっ!!」

理性が飛んだ姉さんが俺の名前を呼び続ける。それに応えるように俺の体が無意識の内に姉さんを激しく蹂躙する。

「い、あっ、あ……あっ!!」

息も絶え絶えになった姉さんは、甘えた声で絶頂を訴え、肢体を震えさせる。数え切れない細かな肉の襞が、俺をもっと奥に引き込むようにくねった。

「は…あぁぁ」

膣全体が二度、三度と大きく収縮した。

「…ごめ、ん、姉さんっ」

「…っ!ひ、あ…ん!」

だが、俺は快感だけは強烈にあるが、射精感が無い。
余韻に浸ろうとする姉さんを、さらに激しく突き上げて、無理矢理高みに登らせる。

「あ、あぁ…駄目、駄目っ!!」

苦しそうに悲鳴を上げる姉さん。そのまま、僅か数分で身体を仰反らせ、秘所を心地好く痙攣させる。

「……姉、さん」

「も、もう動か…っ!ないで…!」

泣いているような姉さんの声を無視し続けて、俺は馬鹿みたいに挿入し続けた。姉さんが何度絶頂を迎えても、構わずに。

「ぁ……ん、嫌ぁ…っ、ゆ、許、してっ」

どれぐらい時間がたったのか、わからない。もう喘ぐことも出来なく、どうしようもなく追い詰められて、枯れ果てたように伏せる姉さん。
そんな絶頂の暴虐に疲弊したような、許しを懇願する声で、俺の意識は戻ってきた。

「あ……っ!」

その瞬間。忘れていた射精感が急激に甦り、精巣が破裂しそうな勢いで、一気に噴出した。

「ひっ…あぁっ、あっ!!」

それは普段の何倍もの量で、全て出し尽くしても快楽の残滓が抜けなくて。
余韻と倦怠に俺は視界が暗くなっていくのを感じた。


――――――――――


「おはようございます。シュナイゼルお兄様」

「おはよう、ナナリー…?どうしたんだい、あまり調子が良くないみたいだけど」

「昨夜は、犬が五月蠅かったですね。それで眠れなかったんです」

「……ん?そうかい?私は気にならなかったが…」

「そうですか?あまりに五月蠅いので様子を見に行ったら、凄いことをしていたんです」

「…………そんなに凄かったのかい?」

「ええ、あまりに驚いてしまって、私、急遽ビデオを用意させたぐらいですから」

「……用意、させた?」

「はい。本当にびっくりしますよ。シュナイゼルお兄様。もし良ければ一緒にご覧になりますか?お兄様や、コーネリアお姉様もお誘いしようと思ってるんですけれど……」

「いや、わたしはえんりょしておくよ。ああ、そろそろでかけないと、しつれいするよ。ななりー」

「…今日もお忙しいんですね。いってらっしゃい」

背中に冷や汗を流しつつ、速やかにシュナイゼルは食卓を後にした。まさか、あそこまで激しく行為に及ぶとは思ってもいなかった。

「気まずくて、早々に退場してよかったな…」

その彼の呟きを聞く者はいない。私はナナリーの笑顔の裏も知らない。そう、思い込んだ。

「おはようございます。もうお出かけですか?シュナイゼルお兄様」

「あ、ああ。おはよう、ユフィ」

「お兄様は昨日眠れました?私は…犬がお庭で騒いでたみたいで、全然眠れなかったんです」

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